獣医師が解説!動物病院での正しい診察の受け方のコツ          〜診察室に入ってから編〜

ペット
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『動物病院の診察室に入ったらどうすればいいの?』
『診察室に入ってからはどんな診察をしてもらえるの』
『獣医さんからより良い診察を受けるためにはどうすればいいの?』


はじめて動物病院にいく場合に心配ではありませんか?


実は、この記事を読めば誰でも、動物病院の診察を受ける時に不安がなくなり、獣医さんからよりよい診察を受けることができるようになります。

なぜなら、僕は獣医師として10年近く診察をして、診察中にこうしてもらえると助かるなあと思うことや、これをされると診察がしにくいなあということを身をもって経験してきたからです。


上から目線なようで申し訳ないのですが、一人でも多くの方により良い診察を受けて欲しいので、より良い診察を受けるためのコツ紹介します。

この記事を読み終えると、よい診察を受けるコツが分かり、獣医さんから一目おかれるようになり、感謝されることになるでしょう!

目次

  • 0.あいさつ
  • 1.まずは問診、とても重要!!
    • 1-1:なぜ問診が重要か
    • 1-2:とくに重要な問診の内容
    • 1-3:相談内容や症状が複数ある場合には最初に伝える
    • 1-4:すぐにケージから出さなくてよい(とくにネコちゃん)
    • 1-5:怒る子の場合や飼い主さんもさわれない子は教えてください
  • 2.次に身体検査へ、70%の病気が分かる!?
    • 2-1:最高の検査は身体検査、70%の病気を検出できる!
    • 2-2:こんなにある!!身体検査でわかること
    • 2−3:診察台の上で身体検査がしやすいようにサポートを
    • 2-4:聴診中はお静かに
  • 3.さあ、検査!ストレスなく行うためサポートをお願いします!
    • 3-1:ウチの子に合わせたサポートを!
    • 3-2:がんばったらご褒美を!
  • 4.検査結果、病気の診断、治療方針の説明
    • 4-1:家族みんなそろってから聞く
    • 4-2:メモや録音もOK
    • 4-3:納得のいくまで質問してもOK
  • 5.診察終了、お大事に!

0.あいさつ

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診察室によばれた時には、『こんにちは』『お願いします』とあいさつをお願いします。
獣医からもあいさつがあると思いますが(僕は必ずします)、返してほしいですね。

なぜなら、飼い主さんはサービスを受ける側だとしても、マナーとしてお願いしたいです。

実際、多くの人があいさつを返してくれるのですが、時々あいさつを返してくれない方がいます。
もちろん、診察はちゃんとしますが、あまりいい気持ちはしないですね。

1.まずは問診、とても重要!!

1-1:なぜ問診が重要か

診察室に入っても、いきなり動物の体を触る触診などはしません。

その前に、飼い主さんに問診を行います。
これが動物の病気の診断にはとても重要です。

なぜなら、動物は自分で話すことができないため、飼い主さんから重要な情報を聞き出すしかないからです。

どこが痛いか(お腹なのか胸なのか)、いつから、どのように体調が悪いのか、どんなことが起きて今どんな状態なのかという病気の診断にとても重要な情報を問診で聞きます。

獣医は問診から病気の診断を絞り込みます。


実際、問診は病気の診断にとても役立ち、話を聞いただけで診断ができることもあります。

逆に、日本語がしゃべれない外国人の方や近所の人が頼まれて連れてきたパターンだと診断がとても難しくなりことを身をもって感じています。

そのため、必ずペットのことをよくわかる人が連れていきましょう。

1-2:とくに重要な問診の内容、これだけは答えてほしい!

病気を疑う場合に、必ず聞く問診の内容があります。

それは、どんな症状があるのか、いつからなのか、何回あるのか、食欲はあるのか、あるとしたら元気な時の何割くらいなのかという事です。

なぜなら、症状は病気の診断に重要であり、食欲の程度は病気の重症度に関係が深いからです。

食欲がどれくらい落ちているかも重要なため、元気な時の何割くらいですかとお聞きすることが多いです。

よりよい診察を受けるために、この問診には答えられるようにしておきましょう。

1-3:相談内容や症状が複数ある場合には最初に伝える

問診のはじめには、『今日はどうされましたか』と聞くことが多いですね。

心配な症状や相談ごとが一つではなく、複数(食欲が低下+できもの+呼吸が荒い)をお持ちの飼い主さんもいます。

その場合には、はじめに全て獣医さんに伝えましょう。


なぜなら、その症状の全てが病気として関連している場合があります。


また、飼い主さんは重要でないと思っていることを診察の終わりぎわに切り出されて、その症状はヤバイので早く言ってくれよと思うこともあります。

さらに、先に言っていただくと、検査をする場合には待ち時間を有効に使うことができるので、待ち時間が短くなるメリットもあります。

診察してほしい内容が複数ある場合には、はじめに全て教えてくださいね。

1-4:すぐにケージから出さなくてよい(とくにネコちゃん)

最初に、問診をします。

ケージに入ってる子は診察室に入ってもまだ出さなくてよいですよ。

なぜなら、ケージにいてもらったほうが落ち着いて問診をしっかり取ることができます。

実際、猫ちゃんの場合には怖がりでケージから出すと逃げそうになるのを抑えながらの問診になってしまいます。

問診に飼い主さんも獣医師も集中できなくなり、よい診察にならないです。

1-5:怒る子の場合や飼い主さんもさわれない子は教えてください

ぜひ、教えてください。
なぜなら、無用なケガのリスクを避けることができるからです。

実際、怒る子の場合には、カラーをしたり、タオルでくるんだりして検査や処置をします。
そういう提案を心おきなくできます。

やはり、かわいいペットにカラーをつけたり、押さえつたりしたくないので、獣医師サイドとしてもさぐりさぐり提案をします。
気を悪くする方もいらっしゃるからです。

そのため、飼い主さん側から申し出ていただくと非常に診察しやすいと感じます。
あと、この飼い主さんは、安全面のことも配慮してくれるんだな、よし頑張ろうという気持ちにもさせられます。


もちろん、どうしても動物なので、どうやっても怒る性格の子はいます。

そして、『先生、ウチの子はカラーつけた方がいいよ』と言ってくださったり、診察室に入る前にカラーなどをつけてもらうと幸いです。

2.次に身体検査へ、70%の病気が分かる!?

2-1:最高の検査は身体検査、70%の病気を検出できる!

問診を終えると次に身体検査といって、動物の体を触る検査を行います。

この身体検査は重要で病気の7割を検出できると言われています。

特に骨や関節などの整形外科に関する病気ではとても重要で、小さな異常を触診で見分けます。

しかも、コスパが圧倒的によいです。


診察料に含まれているので、最高の検査はこの身体検査で間違いないです。ただし、経験がものをいいます。

2-2:こんなにある!!身体検査でわかること

最高の検査である身体検査でわかることを示しますね。
実際、わかることが多すぎて書けないので代表的なものだけにしますね。


  • 目の病気だけでなく、脳神経の病気もわかる!
    脱水や全身の炎症など体の異常が目でわかることも

  • 歯科の病気
    かみ合わせ
    高齢の子は口の中のガンに注意
    口の粘膜や舌の色が青くなると緊急状態

  • 犬の鼻水やくしゃみは歯が原因かも
    鼻血は怖い病気かも
    鼻の形が変わるとガンかも
  • :耳アカの量や赤みで外耳炎を判断
  • 皮膚
    皮膚病は見た目が超重要:どこの体の部分が脱毛、赤み、かゆみがあるかで診断
    皮膚の弾力で脱水が分かる
    黄色いと黄疸が分かる
    皮膚のでき物はガンかも
  • 胸部
    聴診がメインの検査:心臓や肺の異常(雑音、不整脈、心拍数)を音で判断
    気管を押さえたり、胸を叩いたりして咳が出るかも重要
    呼吸の数も同時にみている
  • 腹部
    触診で大きな腫瘍がわかることも
    膀胱にオシッコが溜まっているか
    便秘かどうか
    痛がらないか

  • 小型犬は首を痛めやすく、触診で痛みやこわばり
  • 背中〜腰
    犬は腰のヘルニアが多く、触診で痛みやこわばり
  • 体温
    さわって異常な発熱があるかは分かる
  • リンパ節の触診
    大きくなるとガンかも
    場所:アゴ、クビ、胸、下腹部、膝のウラ
  • 神経の検査
    神経の病気を疑うとき:どこが悪いかほぼ分かります!
  • 整形の触診
    得意な獣医師は、触診のみで確実に病気を見分ける!
    代表的なのは、膝蓋骨脱臼、前十字靭帯病、股関節症
  • おしり
    直腸の指診を行い、肛門の病気(会陰ヘルニアなど)、前立腺肥大を診断
  • メスの場合
    乳腺のしこりはガンの可能性もある
    陰部がハレているのは重病(至急蓄膿症)かも

2−3:診察台の上で身体検査がしやすいようにサポートを

身体検査をしている間は、顔をなでたり、声をかけてあげたりして気をそらしたり安心だよということを伝えてあげてください。


なぜなら、動きすぎたり、怒って攻撃的になると身体検査の精度がどうしても落ちてしまうからです。


また、極度の怖がりな子は

診察台の上から飛び降りてしまう事もあり、特に小型犬では骨折につながる事もあります。


僕たちも注意して目を光らせていますが、不幸なことが起きないようにするためにも飼い主さんにもサポートしていただけると幸いです。

2-4:聴診中はお静かに

当たり前ですが、心臓の音や肺の音を聴診している間は静かにお願いします。


なぜなら、単純に異常を聴きのがしてしまうからです。

たまに、聴診している間に、話しかけられることがあるのですが、やめましょう。

気になることがあれば、聴診をした後に聞きましょう。

3:さあ、検査!
ストレスなく行うためサポートをお願いします!

3-1:ウチの子に合わせたサポートを!

検査がうまくできるようお手伝いをお願いしたいです。

なぜなら、病気で体調が悪いのに、慣れない環境で緊張もしている子たちなので、ストレスで暴れて検査がうまくいかないこともあるからです。

実際、目線を合わせてもらうだけで大人しくなる子もいます。

また、飼い主さんに抑えてもらうとすんなり検査できる子もいます。

逆に、 飼い主さんがいると甘えて暴れる子もいるので、あえて離れてもらい検査や注射などをすることもある。

性格に合わせて臨機応変な対応が必要なのです。

3-2:がんばったらごほうびを!

うまく採血や注射などができたらほめてあげてください。

なぜなら、嫌なことばかりされると病院がどんどんイヤになりもっと検査に抵抗するようになるからです。


好きなおやつを持ってきて、ほめるときに一緒にあげるとさらにGOODです。

4.検査結果、病気の診断、治療方針の説明

4-1:家族みんなそろってから聞く

検査を済ませたら、病気の診断を行い、これからの治療方針を説明します。

病気によっては、とても深刻な話になります。

お願いですが、説明を受けたいご家族がみんなそろってから話をさせてください。

なぜなら、説明が終わった後に他の方が来て、もう一度説明なんていうケースがあり、他の患者さんの診察に影響が出てしまうからです。

病気の説明はできる限り分かりやすく、簡潔に説明をするように心がけています。

けれど、時に難しい病気の場合や、病気がはっきりしない場合、話が長くなる事があります。

話が終わった後に、他の方が私も聞きたいとこられるとガックリ来てしまいます。
だけでなく、限られた営業時間なので他の飼い主さんに影響が出ます。


※もちろん、難しい病気や話の場合、私も聞きたいという気持ちは分かるのですが。
その場合は、獣医さんの許可をとって、ケイタイで録音をしてもらいおウチでご家族の方に聞いてもらってはどうでしょうか。

4-2:メモや録音もOK

難しそうな話の場合には、メモや録音してもOKです

まず大丈夫ですが、録音はその獣医さんの許可をお願いします。

病気の話はなじみのないと思いますので、その場で聞いて全てを理解することの方が無理だと思います。

しっかり理解して納得して治療を進めていきたいと獣医は考えています。

ケイタイなどでメモや録音をして、おウチで調べたり他のペット仲間の意見も聞いて参考にしても良いでしょう。

今だとネットでも調べれますしね。

ネットの情報は、質がバラバラなので良いものを選ぶ目が必要ですが。

後日、ネットで信頼できる情報の見分け方も書こうと思います。

4-3:納得のいくまで質問してもOK

当たり前ですが、話は納得するまで聞いてよいです。

質問は大歓迎です。

なぜなら、飼い主さんに病気や治療の方針を理解してもらわないと、結局その病気の治療がうまくいかないからです。

実際の一例として、心臓病など治らない病気でずっとお薬を飲まなければいけないのにやめてしまって命に関わるケースがあります。

今でも、全て先生に任せますという考えの飼い主さんもいます。

信頼してくれるのは嬉しいのですが、ぜひ自分の頭でも納得して治療をしてあげてください。

その方が、絶対うまくいきます!!

5.診察終了、お大事に!できればあいさつもお願いします。

晴れて診察が終われば、あとはお会計をして薬をもらいます。

できれば診察室を出る時に、あいさつをお待ちしています。

こちらも、診察に来てくれてありがとうという気持ちをお伝えしますし、一つのマナーとしてもお願いします。

ただ、本当に感謝してもらえてる時は必ず言葉をいただけるので、そうじゃない時には、まだまだ修行が必要と考えています。


医療には100点は無いと思いますし、あまり良くない診察だったなと思われてる時もあると思います。
そんな時にフィードバックが来て改善できるようなシステムがあればいいのになと思います。いろんなお店ではアンケートがその役割を果たしているので、そういう物があると今後に活かせそうですね。

まとめ

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以上、よりよい診察を受ける時のコツをお示ししました。

この中からいくつかでもできそうなことをやってもらうだけでよりよい診察を受けることができます!

さらに獣医さんから、一目おかれますよ。

  • 0.あいさつ
    マナーとしてお願いします
  • 1.まずは問診、とても重要!!
    • 1-1:なぜ問診が重要か
      ペットは自分で話せないので飼い主さんの情報がとても大事
    • 1-2:とくに重要な問診の内容
      どんな症状、いつから、何回、食欲は元気な時の何割か
    • 1-3:相談内容や症状が複数ある場合には最初に伝える
      診察をスムーズに進めるためにお願いします
    • 1-4:すぐにケージから出さなくてよい(とくにネコちゃん)
      ケージから出すとしっかり問診できない
    • 1-5:怒る子の場合や飼い主さんもさわれない子は教えてください
      検査や処置をスムーズに行うためにお願いします
  • 2.次に身体検査へ、70%の病気が分かる!?
    • 2-1:最高の検査は身体検査、70%の病気を検出できる!
      圧倒的なコスパ!経験がモノをいう!
    • 2-2:こんなにある!!身体検査でわかること
      多すぎて書けません!
    • 2−3:診察台の上で身体検査がしやすいようにサポートを
      動いてしまうと身体検査の精度が落ちるためサポートをお願いします
    • 2-4:聴診中はお静かに
      単純にきこえなくなります
  • 3.さあ、検査!ストレスなく行うためサポートをお願いします!
    • 3-1:ウチの子に合わせたサポートを!
      暴れないようにサポートをお願いします
    • 3-2:がんばったらご褒美を!
      動物病院がイヤなところと思わせないように
  • 4.検査結果、病気の診断、治療方針の説明
    • 4-1:家族みんなそろってから聞く
      限られた診察時間なので、ご協力を
    • 4-2:メモや録音もOK
      より理解を深めるためご利用ください
      来れなかった家族に説明をするためにも
    • 4-3:納得のいくまで質問してもOK
      治療がうまくいくために、気になるところは質問を
  • 5.診察終了、お大事に!
    できればあいさつをお願いします