老犬の便秘にマッサージはオススメしない理由を獣医が解説

A Golden Labrador is treated with canine massage therapy by a specialist, for an injury to his shoulder.
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こんにちは!獣医師のゆうです。

老犬の便秘で悩んでいませんか?
マッサージで何とかしようとしていませんか?

実は、この記事を読むと
老犬の便秘の解消法や、
マッサージがどれくらい有効なのか、
についてわかるようになります。

なぜなら、
獣医師になって10年間、
これから紹介する方法で便秘を治療してきたからです。

この記事では
老犬の便秘になぜマッサージをオススメしないか、
老犬の便秘の原因、自宅での対処法、治療法、予防法
そしていつ動物病院に行くべきかを
解説しています。

記事を読み終えると、
老犬の便秘についての
正しい知識や正しい対処法、
が分かるようになります。

目次

犬の便秘になぜマッサージをオススメしないか

dog dachshund, black and tan, relaxed from spa procedures on face with cucumber, covered with a towel

ときどき犬の便秘を解消するために
「マッサージはどうですか?」と
聞かれることもあります。

個人的には以下の3つの理由から
一番にオススメする方法ではありません。

病気が原因であることが多いので、原因の治療が大事

老化だけが原因で体調にわるくするほどの便秘には通常なりません。

原因については、後でくわしく解説しますが、
会陰ヘルニアや腫瘍といった病気、
または病気が原因で食べる量が減り、便が出にくくなるように見えること
が原因であることが多いです。

そのため、
原因である病気を治療しないと
いくらマッサージをしても効果はありません。

マッサージよりも効果的なものが多いから

仮に、病気が原因で便秘になったとして、
治すには手術が必要な病気だと診断されました。
ただ、高齢なため手術がむずかしい場合もよくあります。

さてどうするか、、、

僕は、
便を出やすくするお薬(下剤のようなもの)を使って、
便をやわらかくして
少しでも出やすくするようにしています。

マッサージよりも、
僕の経験上は、
便が出やすくなります。

効果がそんなにないから(経験上)

個人的には効果を感じたことがありません。

マッサージが上手い人や
東洋医学のツボを知っているごく一部の獣医さんなら
もしかしたら便秘を解消できるのかもしれませんが。

犬の便秘とは

jack russell terrier, sitting on a toilet seat with digestion problems or constipation reading the gossip magazine or newspaper

犬も便秘になるの?

はい、なります。
ただ、ほぼすべての便秘の原因は病気によるものです。

経験上も、健康な子が便秘になるということはまずありません。

もし、以下に示す便秘の症状があるならまずは動物病院へ行きましょう。

何日でなかったら便秘なの?

3日間、便が出なかったら便秘といってよいでしょう。
まる2日でも可能性は高いですね。

犬は便秘になりやすいの?

犬は猫に比べて、なりにくいです。
猫は便秘になりやすい生き物ですが、
くらべると犬の便秘のなりやすさは10分の1くらいだと思います。

老化で便秘になるの?

単に老化だけでは、経験上は便秘にはなりません。
筋力が衰えたり、食べる量が減ったりして
便が出る頻度は少なくなりますが、
体調を悪くなることはまずありません。

すぐ病院に行くべき犬の便秘の症状4選

Greying elderly Boston Terrier looking at the camera while crouched in preparation for defecation.

便秘には様々な症状がありますが
とくにこわい症状を4つ解説します。

実は、
便が出ないことだけが便秘の症状ではありません。

また、便が出ていても緊急性が高い症状も多くあるんです。

1つでも当てはまれば、自分で解決しようとせず
獣医さんに相談を。

排便時の異常

  • 便が出にくそう
  • 何回もきばってやっと便が出る
  • 痛そうに鳴く

こんな症状があるときには、
大腸炎、会陰ヘルニア、大腸の腫瘍やポリープなどの病気をうたがいます。

便の異常

  • 血便
  • 便が細くなる

排便時の異常と同じく
大腸炎、会陰ヘルニア、大腸の腫瘍やポリープなどの病気をうたがいます。

おしりの回りにふくらみがある

この場合にもっとも多いのは会陰ヘルニアという重大な病気でしょう。
また、肛門にがんなどの腫瘍ができてはれてしまい、便が出にくくなる可能性も考えられます。

おしりの回りがはれているようならすぐ動物病院へ。

食欲がなくなる

便秘も含めどんな病気も進行し、悪化すると体調に影響がでます。
こうなる前に他の症状が出ているはずなので早期発見を。

便秘の原因

jack russell dog sleeping in bed with high fever temperature, ice bag on head, thermometer in mouth, covered by a blanket

便秘の原因は大きく分けて2つ、
病気によるものと、老化によるものです。

ただ、繰り返しになりますが
ほとんどは病気が関係しています。

病気が関係するもの

食欲の低下

経験的にはもっとも多いです。

食べる量が少なくなるので、便が出る回数が少なくなります。

当たり前といえば当たり前ですが、
意外と飼い主さんに気づかれていないようです。

会陰ヘルニア

こちらも犬の便秘で多い原因です。

とくに、去勢をしていないオスの犬で多いです。
お尻の横がはれたり、出にくそうに何回もいきんだりするのであれば、
かなり進行しており手術をすすめることが多いです。

下痢が治るとき

厳密には病気とは違いますが、
下痢が治るときにはいったん便が出なくなった後に
いい硬さの便が出てくることが多いです。

いい便が出てくるまでに2〜3日かかることもわりと多いです。

前立腺の病気(前立腺肥大、前立腺の腫瘍)

オスの犬では前立腺の病気で便秘になることがあります。

前立腺が大きくなりすぎると、便が出る通り道である腸を圧迫するからです。

大腸の病気(ポリープ、腫瘍)

大腸にポリープや腫瘍などのできものができると、
便秘や血便、いきみが続くことも多いです。

便の通り道である腸の中がせまくなったり、ふさがったりすることが原因です。

肛門の腫瘍

犬は肛門にも腫瘍ができることが多いです。

男性ホルモンが関係している肛門周囲腺腫や
肛門嚢腺ガンといった悪性度の高いものもあります。

よほど大きくならないと便秘にはなりませんが、
中には気づかない方も。

お腹の中の大きな腫瘍、がん

お腹の中に大きながんや腫瘍ができてしまい、
腸を圧迫していることもあります。

ゆっくり大きくなっている場合には、
元気や食欲にも影響が見られないことがあるので注意が必要です。

からだが痛いとき(腰痛、椎間板ヘルニアなど)

体が痛くて、動きたくないときには犬も排便を我慢します。
また、いきむ姿勢をとる時に体がいたむとうまく便を出せません。

とくに、いたむ症状がある場合には、
腰の椎間板ヘルニアはまず考えておいたほうが良いでしょう。

腸閉塞、異物

腸が詰まって便が出なくなることもあります。
がんなどの腫瘍が腸をふさぐ場合や、
消化できないビニール等の異物がふさぐ場合があります。

ただし、便秘どうこうの前に、
元気や食欲がまったくなくなり、何回も嘔吐をしたりするので、
緊急の対応が必要になります。

骨盤骨折の後遺症

過去に交通事故などにあって骨盤骨折があると便秘になりやすいです。

なぜなら、
骨盤が変形して治っていると、
骨盤の中心を通る大腸が圧迫を受けてしまい
うまく便を外に押し出すことができなくなるからです。

猫に比べると犬では少ないですが、過去に経験したことがあります。

老化が関係するもの

老化だけで便秘になることはかなり少ないですが、
以下のような条件に当てはまるのであれば可能性はあります。

筋力不足

老化に伴い犬も筋力が落ちてきます。

そのため、排便時にきばる力もおとろえてきて
便が出る頻度が少なくなる傾向があります。

ただ、もちろん体調に影響を与えるほどの重大な便秘になることはまずありません。

運動不足

運動や散歩をしたほうがお通じが良くなるのは
犬でも同じといってよいでしょう。

ただし、寝たきりの子でも
病気がなければ
体調に影響を与えるほどの重大な便秘になることはまずありません(2回目)。

水分不足

老犬になると体が不自由になり、
お皿から十分な水を飲めなくなると、
水分が不足し便秘ぎみになることはあります。

ただし、僕の経験上は
水も飲めないほどの重大な病気がなければ
体調に影響を与えるほどの重大な便秘になることはまずありません(3回目)。

便秘の対処法、治療法

Veterinarian doctor and a labrador puppy at vet ambulance

便秘をよくしてあげる方法は、便秘の原因を治療してあげることです。
当たり前ですが。

ほとんどの場合、病気が便秘の発生に関わっていますので
その原因となる病気を見つけて、治療をすることが重要です

病気が関係するものの治療法

食欲の低下

食欲が低下する原因を治療しましょう。
どんな病気でも最終的には食欲が落ちてくるため、
様々な検査をして原因を突き止めていきます。

会陰ヘルニア

手術が治療法です。
程度によって難易度が大きく変わります。

ただし、手術をしても進行し、数年後に便秘症状が出てくることも少なくないです。

去勢手術をしていなければ、去勢手術も同時に実施します。

下痢が治るとき

これは大丈夫ですね、待つだけです。

前立腺の病気(前立腺肥大、前立腺の腫瘍)

前立腺肥大であれば、男性ホルモンの影響が大きいので
去勢手術を行います。
場合により、男性ホルモンを抑えるおクスリを使うことも。

前立腺の腫瘍、特にガンでは根治は難しいです。

大腸の病気(ポリープ、腫瘍)

大腸にできたポリープは手術や抗炎症薬を用いて治療します。

ガンなどの腫瘍は根治は

便の通り道である腸の中がせまくなったり、ふさがったりすることが原因です。

お腹の中の大きな腫瘍、がん

手術などの治療を考えますが、
腹部の臓器と癒着して摘出できないこともあります。

からだが痛いとき(腰痛、椎間板ヘルニアなど)

なぜ痛いのか、どこが痛いのかをしっかり見きわめて治療をします。

腰の椎間板ヘルニアであれば、
軽度なら、安静やおクスリで、
重度なら、手術をおこなって
治療をします。

腸閉塞、異物

腸閉塞になっているなら、緊急手術が必要です。

発見が遅れると手術をしても助からない場合も。

骨盤骨折の後遺症

便をやわらくして出やすくするために、下剤を使用します。

なぜなら、
すでに時間がたって、変形した骨盤をもとに戻すことはできないからです。

根本的な治療ではありませんので、
一生涯においてお薬が必要になることも。

肛門の腫瘍

手術を行います。

男性ホルモンが関係している肛門周囲腺腫であれば、
去勢手術も同時に行うことで根治が可能です。

肛門嚢腺ガンだと、手術だけでなく、抗がん剤や放射線治療も組み合わせる必要も。

老化が関係するもの

あくまで、病気がないことを前提に
対処法、治療法をお伝えしますね。

もし、それでもお困りの場合には、
マッサージではなく、
便をやわらかくして出やすくするおクスリを使用することをオススメします。

筋力不足

運動ができる工夫をしましょう。

こまめなお散歩

老犬さんは疲れやすいからです。

1回のお散歩を長くというよりも、
短時間の散歩を多くがオススメです。

介助つきの散歩

体がふらつく子は胴輪などで体重を支えながらのお散歩がおすすめです。

なぜなら、
足腰が弱っているので、
転んでケガをすることもあるからです。

滑り止めマット

お家の中でも動きやすくしてあげることはとても大事ですね。

老犬にとってもバリアフリーな環境や工夫を。


とても多い関節炎のためのサプリや痛み止め

アンチノールというサプリがオススメです。

なぜなら、
10歳以上の犬の約44%が関節の病気になっているという
日本大学の調査報告があるからです。

この関節の病気はある意味では老化に伴うもので根治はできないのですが
経験上、数あるサプリの中でもアンチノールを飲むと症状が良くなることが多いです・

また、痛みを伴うことも多いため、痛み止めも有効です。

どちらも動物病院での処方になるのでまずは相談を。

運動不足

上記した筋力不足と同じ内容ですね。

水分不足

水分をしっかり取る工夫を。

お水の容器を高くする、給水器にする

自分で水が飲める場合、
クビを曲げて、体を支えなくても飲みやすいようにしましょう。

なぜなら、
床の近くにある水を飲む姿勢は、老犬にとってつらいから。

実際、
体がかたくなるためクビを曲げるのはつらいですし、
筋力も弱るためそのまま体勢を維持するのもひと苦労です。

ウェットフード、ふやかしフード

水分を多く含んだフードもオススメです。

ウェットフードは、
実に70%ほども水分が含まれています。

また、
ドライフードでも、
ぬるま湯で数分ふやかして水分がいっぱいのゴハンが完成します。
ただ、お好みに合わない子も中にはいますが、、、

便秘の予防法

cropped image of man holding beagle while veterinarian doing injection by syringe to it

繰り返しになりますが、犬の便秘は病気がほとんどなので
その病気の予防法を知っておくことが大切です。

ただ、残念ながらすべての病気が予防できるわけではありません。

ちなみに、マッサージは犬が嫌がらなければやってもいいと思いますが
便秘の予防効果はあまり期待しないほうがいいでしょう。

病気が関係するもの

食欲の低下

これは原因によりますね。

会陰ヘルニア

去勢手術をしていない中〜高齢のオス犬で多いため
若いうちの去勢手術は予防的な効果があると考えられます。

下痢が治るとき

予防は必要ないですね。

前立腺の病気(前立腺肥大、前立腺の腫瘍)

良性の前立腺肥大では去勢手術が予防できます。

ただ、前立腺のガンは予防はできないと考えられています。

大腸の病気(ポリープ、腫瘍)

予防は難しいです。

肛門の腫瘍

男性ホルモンが関係している肛門周囲腺腫は
去勢手術で予防が可能です。

ただし、肛門嚢腺ガンは難しいです。

お腹の中の大きな腫瘍、がん

予防は難しいため、健康診断などでの早期発見を。

からだが痛いとき(腰痛、椎間板ヘルニアなど)

腰の椎間板ヘルニアは急に発症するため予防は難しいですが、
ジャンプ、階段や段差の上り下り、激しい運動のときに発症することが多いです。

そのため、段差がない生活環境や過度な運動は避けたほうが良いでしょう。

腸閉塞、異物

当たり前ですが、回りにはかじれるものを置かないように。

お菓子の袋、ビニール袋、クッション、おもちゃ、、、
最近では、マスクの誤食が多いです。

命に関わるので本当に気をつけて。

骨盤骨折の後遺症

交通事故にも本当に気をつけて。

年に1〜2頭、
うちの病院に通っているこの中でも訃報を聞きます。

老化が関係するもの

先ほど説明した対処法、治療法がほとんどそのまま予防法になります。

以下にはとくにオススメの予防法を取り上げますね。

筋力不足

アンチノールを飲んで、こまめなお散歩が特にオススメですね。

ちなみに、アンチノールは認知症にも効果があるとも考えられています。

運動不足

上に同じです。

水分不足

ウェットフードがオススメです。

ちょっと高いですが、食べるだけで水分も摂取できるので
一石二鳥です。

ただ、水分が含んでいるといたみやすいので、
夏場などは注意をしてあげて。

まとめ

top view of cute small jack russell terrier dog sitting on a wood bridge outdoors and looking at the camera. Pets outdoors and lifestyle
  • 犬の便秘にはマッサージをオススメしない理由は、病気が原因であることが多い、マッサージよりも効果がある治療法がある、経験上は効果がとぼしい
  • 犬も便秘になることがあり、2〜3日出ない場合は要注意。ただし、老化だけが原因で重度な便秘になることはまずない。
  • 便秘に関係するこの4つの症状があればすぐに動物病院へ。便が出にくいなどの排便の異常、血便などの便の異常、お尻の回りがふくらむ、食欲が落ちる。
  • 犬の便秘の原因は、ほとんどが病気です。老化だけが原因の便秘は少ない。
  • 便秘の対処法や治療法は、その病気に応じたもの。
  • 便秘の予防法も、病気によってかわるが、難しいことも多い。
  • 老犬の便秘対策としては、工夫した運動で筋力を維持する、ウェットフードなどで水分をしっかり補うことがオススメ。