【獣医が教える】猫に多い病気や症状ランキング10 第5位〜第1位 〜早期発見法と予防法も解説〜

The cat is holding a big trout. White background.
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猫に多い病気や症状ランキングの後編です。

特に頻度が多い病気や症状なので
猫飼いさんには必ず知ってほしい病気ばかりです。

また、獣医師としての知識や経験をふまえて
早期発見法や予防法も解説していきますね。

以下は目次です。

  • 第10位 皮膚炎
  • 第9位 糖尿病
  • 第8位 元気、食欲がなくなる
  • 第7位 外耳炎
  • 第6位 結膜炎
  • 第5位 心筋症 (心臓病の一種)
  • 第4位 胃腸炎
  • 第3位 膀胱炎
  • 第2位 嘔吐、下痢、血便
  • 第1位 慢性腎臓病

第5位 心筋症(心臓病の一種)

猫さんは心臓病になることも少なくないです。

心筋症という病気のグループがあり、
特に肥大型心筋症という病気が猫さんには多いです。

怖いのは、
さいごのさいごの末期まで何も症状が出ないことが多いです。

また、聴診器を当てて分かる場合もあるのですが
実は、心雑音がなく聴診でわからないケースのほうが多いくらいです。

治療法は、主にお薬なのですが
有効性が示されたお薬はほとんどないのが現状です。

予防法も僕が知る限りないので、ここではとても大事な早期発見法を詳しく解説します。

早期発見法

先程申し上げたように、聴診などで早期発見できないことも多いです。

ただし、最近では血液検査で心臓病のマーカーを測定できるようになってきています。

そのため、健康診断などで血液検査をする予定がある猫さんは、その検査項目も図ってもらうと早期発見に繋がる可能性もあります。

その心臓病が進行し、末期になり命に係る状況になると、
呼吸が苦しくなることが非常に多いです。
肺に水が溜まったり、胸の中に水が溜まったりするためです。

そのため、呼吸の症状は絶対に見逃してほしくないです。
もし、以下の症状に1つでもあてはまればすぐに動物病院に行ってください。
なぜなら、呼吸に異常が出てから、早ければ数時間で命がなくなってしまうことも少なくないからです。

特にわかりやすく、自宅で見つけやすい
4つの異常な呼吸があります。
頻呼吸、鼻翼呼吸、開口呼吸、努力呼吸です。

頻呼吸とは、呼吸数が多くなります。
吸って吐いてを1回として、
1分間に30回以上というのが基準です。
実際の数え方は、
胸がふくらんで、もどってを1回と数えますが、
1分間数えるのは意外と長いので
20秒の回数を3倍することが多いです。

鼻翼呼吸は、小鼻がふくらむ呼吸です。
鼻がヒクヒクするような感じで呼吸をしてたら要注意です。
運動をした後でもこうなることがありますが、
安静にしていても呼吸に異常が見られるなら動物病院へ。

開口呼吸は、文字通り口を開けて呼吸をします。
一番わかりやすいですね。
重大な異常なのですぐ動物病院へいってほしいです。

努力呼吸とは、胸やおなかがいつもより大きく動いて呼吸をします。
いつもより、胸やおなかが大きく動いていたり、
なんか変だなと感じた飼い主さんに気づいたケースもありました。
呼吸の異常というのは、命に直結しやすいため違和感を感じたら
なるべく様子を見ないで獣医さんに相談してほしいと思います。

第4位 胃腸炎

胃腸炎の主な症状は、
嘔吐や下痢です。

第2位の嘔吐、下痢、血便のところで詳しく解説しますね。

よく相談されることに
嘔吐は何回以上で病院に行ったほうが良い?
というものがあります。

回数で病気の重症度が100%決まることはないのですが、
1日に2回以上は、多いので要注意です
3回を超えたら動物病院にかかったほうがよいでしょう。

嘔吐の回数だけでなく
食欲や活動性がおちるかどうかも重要ですね。

例えば、嘔吐が1回でも元気や食欲がまったくないのであれば
迷わず獣医さんに診察してもらいましょう。

第3位 膀胱炎

実は、猫さんはとてもおしっこ(泌尿器系)のトラブルが多い生き物です。

第1位の慢性腎臓病も泌尿器系の病気だったりします。

膀胱炎も日常の診療で毎日とは言わないですが
非常に多く診察しますね。

原因は、
尿石や結石
ストレス
の2つが特に多いです。

ストレスについて、
室内飼育の普及や多頭飼いにともなって
運動不足、猫同士の関係、家族との関係などが
主に挙げられます。

みなさんは猫にとっていい環境をつくってあげられてますか?

早期発見法

おしっこの症状を見逃さないことです。
もし見逃すと、特のオス猫では尿道閉塞という命に関わる状態になることもあります。

主なおしっこの症状には、

頻尿:1日3回以上はもしかしたら
おしっこの色の変化:赤い血尿、うっすら赤いだけのことも
トイレに出たり入ったりする
排尿時に痛そうにする、鳴く
おしっこが出ない:緊急です❗必ず仕事を休んでもすぐ動物病院へ、尿道閉塞の可能性が高いです。

があります。

まず間違いなくおしっこの症状がでてくるので
毎日トイレをみてあげて
おしっこの回数や色などをチェックしてあげましょう。

予防法

予防法はとても大事です。
しかも、効果的な予防法がわかっているのでやらない手はないですよね。

もっとも効果的な予防法は
水分をいっぱい取ることです。

水を飲ませる工夫やウェットフードを取り入れることです。

個人的にはウェットフードが超おすすめです。
ウェットフードの70%以上が水分なので
これを食べるだけでかなりの水分が摂取できます。
水を自分から飲んでくれない子でもしっかり水分補給ができます。

もちろん、水を飲ませる工夫も大切で
複数箇所に水を置く、
運動や遊びをしてのどが渇くようにする
ぬるま湯が好きな子もいる
蛇口からしたたる水が好きな子もいる

愛猫の好きな飲み方でいいので、
なるべく多くの水を飲ませてあげてくださいね。

第2位 嘔吐、下痢、胃腸炎

日常の診療でとても多い症状です。

この症状が出たら必ず病気というわけではありません。

例えば、
一気食いしたり、
食べ過ぎたり、
おなかに合わない食べもの
が原因で吐いたり、下痢をすることもあります。


病気を疑うのは
この症状の回数多い場合
この症状が出る期間が長い場合
元気や食欲が低下するなど他の症状も見られる場合です。

よくある原因の病気は
これから紹介する慢性腎臓病
誤飲、誤食
胃腸のガン
があります。

第2位の誤飲は防げる病気?なので、
猫が好きな細長いもの、ビニール、かじったことがあるもの、こわれるおもちゃは、手の届かないところにしまうことが大事です。
命に関わる状況になることも多いので前科がある子は徹底した対策をおすすめします。

嘔吐について、一つ知ってほしいことがあります。
原因を治療することがもっとも重要なのは揺るぎないのですが、
嘔吐をしたらその後数時間は何も口から上げないほうが良いということです。

嘔吐をした直後に食べ物や水を上げると
また吐いてしまうことが多いです。
嘔吐がつづくと脱水が進行してしまうことがあるため、
嘔吐をした直後は、欲しがっても時間をおいてから水やご飯を上げることをおすすめします。
具体的な時間としてはすくなくとも2〜3時間。
できれば5時間位明けてから、少量のフードや水をあげてみて
吐かなかったらまた数時間おいて少量ずつ上げるほうが良いです。

もし、それでも嘔吐をくり返すような場合は
動物病院へ行くことを強くおすすめします。

第1位 慢性腎臓病

猫を飼うなら絶対に知っておいてほしい病気です。

猫のもっとも多いなくなる原因とされています。

最新の報告では、
猫全体の半数が、この慢性腎臓病になると言われています。
そして、15才以上に限定すると81%もの割合になります。

この腎臓病は、
根本的に治す方法は見つかっていないのが現状で
時間とともに徐々に進行していく病気です。

ただし、早期発見、早期治療で
かなり長生きを目指せる方法もあります。
残りの生存期間が2倍以上ものびる治療法もあるんです。

今から詳しく解説しますね。

早期発見法

なんといっても、お水を飲む量が増えてきます。

それにともない、おしっこの量も増え、色も薄くなってきます。

7歳上の猫さんは
毎日の飲み水の量が増えてきてないか
おしっこの量や色をチェックする習慣をつけると早期発見に繋がりやすいです。

ちなみに、
腎臓病などの病気を疑う1日の飲水量の基準は、
体重✕50 ml より多い場合です。

なので、4キロの子なら200ml以上の水を1日で飲んだ場合には
必ず動物病院で検査を受けましょう。

もちろん、病気のなりはじめの場合には
この基準に満たないけど、以前より多くなってきた
なんていう場合もあるので
気になる場合は獣医さんに相談することをおすすめします。


ほかには、
嘔吐が増えてくることも多いですね。
以前よりも、若いときよりも
嘔吐の回数や頻度が多くなったなと言う場合は
慢性腎臓病に限らず病気のサインかもしれません。


慢性腎臓病と診断するには
血液検査、尿検査、エコー検査を行います。
血液検査では、腎臓だけでなく
肝臓、糖尿病、高齢で多いホルモンの病気などなど
とても多くの病気やくわしく体の状態がわかるので
健康診断としてもとてもおすすめです。

採血のときにじっとしてくれる子であれば。
おこりんぼさんだとなかなか難しいかも、、、

予防法

予防法については、確実なものはないのが現状です。

ただし、ある報告では
ワクチンの打ちすぎがリスクを高める可能性
歯周病の重症度と関連性がある可能性
が指摘されています。

そのため、
感染のリスクが少ない猫さんについては
(例えば、室内で1頭で飼っていて、他の猫との接触もない場合)
1年に1回のワクチンではなく
3年に1回のワクチン接種でも良いかもしれません。

そして、
歯周病対策としては、
みんな苦手なのですが歯磨きがオススメです。
小さい頃から慣れておかないと難しいかもですが💧

まとめ

  • 第5位 心筋症 (心臓病の一種)
    呼吸の症状(頻呼吸、鼻翼呼吸、開口呼吸、努力呼吸)を見逃さず早期発見を
  • 第4位 胃腸炎
    嘔吐なら1日2回以上、元気食欲が落ちるかが病気の見極めのポイントの一つ
  • 第3位 膀胱炎
    おしっこの症状(頻尿、赤い尿)を見逃さないで早期発見を
    水分をいっぱいとることが、予防には超重要
    ウェットフードを取り入れることがオススメ
  • 第2位 嘔吐、下痢、血便
    命に関わる異物の誤飲は心がけと工夫で予防できる病気
    もし嘔吐をしたら、直後には何も上げず、数時間おいて水や消化の良いフードを少量ずつ上げる
    それでも吐くなら動物病院へ
  • 第1位 慢性腎臓病
    猫にもっとも多い病気
    飲み水の量をチェック、健康診断の血液検査で早期発見を
    必要以上のワクチンを打たない、歯磨きの習慣は慢性腎臓病のリスクを下げてくれるかも