犬の腎臓病の療法食はいつから? 〜世界標準のIRISガイドラインを参考に〜

未分類

愛犬が腎臓病と診断されたけど、フードはどうすればいいの?

何かしてあげられることはないの?
療法食に変えた方がいいの?
おやつはあげていいの?
手作りで療法食を作ってあげたいけどどうすれば?

と悩んでいませんか。

この記事をご覧いただくと
世界標準のガイドラインに沿った
慢性腎臓病の犬のフードや食べ物の選び方がわかるようになります。

なぜなら、
IRISという国際獣医腎臓研究グループの2023年のガイドラインに沿って
臨床経験10年以上の獣医師が解説をするからです。

この記事では犬に多い慢性腎臓病の食事管理を紹介します。

療法食の効果、
いつから療法食がいいのか、
正しい診断とステージ分類の大切さ、
おすすめの療法食や手作り食、
療法食を食べてくれない時の対処法、
腎臓療法食のデメリット、
まだ腎臓病じゃない時のフード選び

について分かりやすく解説をしています

そもそも腎臓食はどれくらい効果があるのか

3倍近い長生きを期待できます

なぜなら、
犬の慢性腎臓病についての論文で、
生存期間中央値は

通常食が188日に対して
腎臓食が594日


という結果が出ているからです。

参考文献:Clinical evaluation of dietary modification for treatment of spontaneous chronic renal failure in dogs

残念ながら、慢性腎臓病は徐々に進行していく病気ですが、
腎臓食を始めることによってより長生きが可能です。

いつから腎臓病の療法食にしたらいいか

結論、

慢性腎臓病のステージ2
ステージ1でも尿蛋白以上


と、2023年のIRISガイドラインがおっしゃっています。

となると、
慢性腎臓病の正しい診断、ステージ分類、タンパク尿チェックが大切ですね。

大前提、正しい診断、正しいステージ分類

腎臓病療法食を始めるためにはステージ分類が特に重要でしたね。

結論、
うちの子はどのステージと獣医さんに聞けばOKです。

腎臓病を正しく診断するには、血液検査だけではなく、超音波検査、レントゲン検査、尿検査、血圧測定などを組み合わせて行うことが大切です。
慢性腎臓病だけでなく、腎盂腎炎、尿管結石、腫瘍、レーズン中毒、急性腎不全など、多くの病気が存在するため、総合的に判断して正確な診断を行うことが必要です。

おすすめの腎臓療法食、手作り食

選び方は、
何よりも食べてくれるかで選んでください
なぜなら、
食欲が出ずどんどん痩せていくことは腎臓病の治療に良くないからです。

おすすめの方法は、
今までのフードに少しずつ腎臓病の療法食を混ぜ、
そして病気の進行とともに比率を増やしていく
ことです。

加えておやつなどの加工食品はリンが多いので
少なくしていく
ことも重要です

腎臓病の療法食を紹介しますが、
個人的には成分が基準を満たしていればこだわりはありません。
リンの制限やタンパク質の制限がちゃんとされていればどれでも良いと思います。
自分が使ったことがあるものを紹介します。

ヒルズ、k/d シリーズ

ドライ

先ほど取り上げた論文ではk/dを使用していたようです。
昔より美味しくなっている気がします、食べたわけではないですが。

缶詰めタイプ


缶詰タイプは水分も取れるのでおすすめです。
シチュー缶シリーズは美味しいみたいですが、ちょっと高いです。
大きめの缶詰もありますが、シチュー缶の方が美味しいみたい。

シチュー缶タイプ

人気のため品切れが多いです。

ノーマル缶タイプ

ロイヤルカナン、腎臓サポートシリーズ

ドライタイプにはノーマル、小型犬用、セレクションの3種類があります。

ノーマル

粒の大きさは普通くらいです。

小型犬用

小粒タイプです。
通販では変えないようになっていますので、かかりつけの動物病院へ。

セレクション

少し尖った形をしています。
食感を変えたいときにいいと思います。

ウェットタイプ

ウェットタイプ、缶詰もあります。
こちらは水分が取れるのでおすすめです。


早期腎臓サポートについては、
今のガイドラインではタンパク尿が出ていないステージ1では明確な推奨の記載はありません。
ただ今後変わる可能性はあると思っています。

あと使ったことがあるのはドクターズのキドニーケア、
サニメドとピュリナですね。

手作り食について

ハードルが高いと思います。
それでも、
愛犬に手作りのごはんを作ってあげたいという強い気持ち、
時間、手間、お金を十分にかけれる人はこちらのサイトがおすすめです。

記事の情報が信頼に足る内容だと思います。
療法食を自分で作るというのはプロの仕事だと思いますので、
人間で言うと管理栄養士にちかいぐらいの知識や経験が必要なのかもしれません。

療法食を食べてくれない時の対処法9選

療法食を食べてくれない時にどうしたらいいですか?
という質問はよくされます。

そんな時には以下の方法を試してみてあげてください。

ただ、腎臓病の療法食にこだわりすぎて
やせることは逆によくありませんので、あまり根を詰めすぎないように。

①いろんな種類を試す


腎臓病の療法食にはいろんな種類がありので、
食べつきがいいものを選んであげてください。

また飽きることもあると思いますので、
2番目3番目のフードもストックしておくといいかもしれません。

②今までのフードに混ぜる


今までのお気に入りのフードに混ぜることによって食べやすくなります。
100%腎臓食にしなくてもある一定の割合以上が含まれていれば、
それなりに効果は出ると考えています。
個人的な考えですが。

③トッピングをする

好きなもの缶詰やと混ぜることで食べやすくなりますね。

④温める

ドライフードも数秒から10秒ぐらいレンジでチンすると
においが立って食欲が刺激されます。

⑤小さいサイズ袋を買う

フードは開封して時間が経つと風味が落ちます。
使われている油は酸化し体にも良くないため、1ヶ月以内で食べきれる小さいサイズの袋を買いましょう。
夏は冷蔵庫に保存しましょう。

小さければ小さいほどいいと思います。
お金がかかりますが。

⑥食欲が落ちない時から療法食を混ぜる

食欲が落ちない早期の段階から療法食を混ぜることによって
より切り替えやすくなります。

⑦手からあげる


甘えん坊さんにはこの方法が効果的です。

⑧食欲増進剤を使う

ガイドラインにも、食欲増進剤を必要に応じて使うことが推奨されています。
カプロモレリンというお薬ですが、効き目は犬によってさまざまです。

⑨手作り食


手間、時間、お金が十分にかけれるなら、
愛犬に手作りのご飯を作ってあげたいという方はこちらのサイトがおすすめです。

腎臓病フードのデメリット2選

正しく腎臓病療法食を使用すれば
とても効果がありますが、デメリットもあります

食べてくれず痩せるリスク


腎臓病において、食欲が出ず痩せていくのはよくありません。
ガイドラインにも食欲剤の推奨もあるぐらいです。

食べてくれない場合は
早めに他の種類に変えたりこだわりすぎないように。

タンパク質制限のリスク

成長期、若くて健康な犬には制限してはいけません。
また慢性腎臓病であっても早期過ぎると良くない可能性があります。

なぜなら、
タンパク質(リンも)体にとってとても重要な栄養素だから。

実際、腎臓食の注意書きにもそう書いてあります。
療法食は獣医師と相談した上で正しく使用しましょう。

慢性腎臓病ではないけど、中高齢で腎臓病が心配な人のフード

イドラインに推奨がないので、
食べてくれる総合栄養食でOK
と考えています。

ただ、リンが多いおやつや加工食品は控えた方が良いでしょう。
以上です。

真面目な人ほど
えっ、他に何かできることないの?
と思われる気がするのでもう少し解説します。

中高齢で人材が心配だと思いますが、
腎臓病が多いからといって診断なしでは腎臓食にしない方が良いです。

なぜなら早期過ぎる時期にタンパク制限をしてしまうと
逆に健康に良くない可能性もあるから。

それより、早期発見をして適切なタイミングを見極める方が大事です。
定期検査や腎臓病のサインである飲水量が増加や尿の色の変化の観察を。

慢性腎臓病の犬におすすめのおやつやトッピング

腎臓病の犬におやつを与えてもいいですか?
腎臓におすすめのやつを知りたい
と聞かれる方は多いです。


僕の中では今現在、比較的リンが少ない、以下のものがおススメです。
鳥のひき肉、豚もも肉、卵白です。
あとは療法食のオヤツ、トリーツです。


おすすめできないおやつは、以下です。
以下はリンが多い食べ物です。
小魚、肉、卵、乳製品(チーズ、ヨーグルト)、ハム、ベーコン、練り物そして加工食品全般。
犬が好きなものが多いですよね、、、



推奨はできませんが、
どうしても上に含まれるおやつをやむなくあげる場合は、
茹でこぼすのがいいと思います。

食品を茹でると食品中のリンが少なくなるからです。

個人的には、
おやつにこだわらず、
散歩や過ごす時間を増やして、犬が喜ぶ時間を増やすことが大切だと思います。

腎臓におすすめのサプリメント

目ぼしいものはありません。
ガイドラインにも記載はありません。
リンの吸着剤がサプリメントに分類されるならそれぐらいかな。

まとめ

  • 慢性腎臓病の犬に、適切なタイミングで腎臓食にすると3倍近く長生きをめざせる
  • IRISガイドラインによると、ステージ2以降、または蛋白尿異常があるステージ1で腎臓食への変更が推奨
  • 正しい診断とステージングが大事
  • おすすめの療法食は、基準を満たした食べつきがいいもの、ウェットもおすすめ
  • 食べてくれない療法食なら逆効果も、こだわりすぎないで
  • 腎臓病療法食にはデメリットもあるので獣医師と相談の上、選びましょう。
  • 慢性腎臓病でないなら、ステージ1蛋白尿異常なしなら、ガイドラインでは推奨なし(今後変わる可能性も)
  • おやつ選びは慎重に

以上、参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!