ミニチュア・シュナウザーを飼う人へ獣医が伝えたいこと 

ミニチュアシュナウザーさんの画像 未分類

獣医師のゆうです。

今回は、人気犬種のミニチュアシュナウザーを飼いたい人、

すでに飼っている人へ向けて

獣医師として絶対に知っておいてほしいことを解説します。

主な内容は、

名前の由来、出身、歴史
性格
寿命
医療費
なりやすい病気6つ
その早期発見法と予防法

です。

名前の由来:シュナウザーはドイツ語で

名前の由来、出身、歴史


シュナウズ(Schnauze)はドイツ語でマズル(口)を意味します。

シュナウザーという名前は、

特徴的なこの立派な口ひげを表しているんですね。

余談ですが、昔キャプテン翼に

シュナイダーというドイツ代表の超強い強敵が出てきました。

ドイツ語だからか、なんとなく響きが似ていますね。


シュナウザーは、ドイツの出身です。

カラダの小さいスタンダード・シュナウザーと

アーフェン・ピンシャーやプードルを交配させたて作られたと言われます。


最初は、毛色も毛質もさまざまで

なんと毛並みが変わったミニチュア・ピンシャー

として紹介されていたそうです。



もともとは、

ネズミ退治や家畜を守る仕事を任されていて

1920年代に米国に渡ってから家庭犬として人気が出ました。

ミニチュア・シュナウザーの性格

まずはこちらのグラフをご覧ください。

こちらは、「はじめてでも失敗しない愛犬の選び方」という
東京大学で動物行動学を研究されている先生の著書から引用させていただきました。

RPGや格ゲーのパラメーターのようで分かりやすいですよね。

飼いにくい特性として、攻撃性がありますが

低くはないので

子犬のうちからしつけをしっかりすることが重要ですね。

吠え行動もやや気になる犬種なので、

この参考文献では、

その対策としてオスよりメスのほうがすすめられています。


日本の調査とアメリカの調査ではやや違いがあり、

アメリカでは

撃性や興奮性、活動性、遊び好きがトップクラスに高い犬種とされ

初心者には難しい犬種といわれます。


ただ、日本で獣医師として働く個人的な経験からすると

攻撃的な子もいますが、そこまで多くない印象です。

大人しい子も比較的多いので、

日本とアメリカでは性格における遺伝的な特性が少し違っているのかもしれません。

僕は初心者にすすめても良い犬種だと思っています。

ミニチュアシュナウザーの寿命

ミニチュアシュナウザーの平均寿命は、

13.4歳 

です。

こちらは、2019年アニコム家庭動物白書という、ペット保険会社の調査結果を引用しています。

アニコム家庭動物白書2019
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_201912_3_2.pdf

さらに、犬全体の平均寿命も算出されていて

14.0才となっています。

となると、ミニチュアシュナウザーさんの平均寿命は

他の犬種に比べて同じか、すこし短めということですね。


犬全体の傾向として

小型犬ほど寿命が長く

大型犬ほど寿命が短いので

ミニチュアシュナウザーさんの体格をかんがえると

短いと考えなくても良さそうです。

ミニチュアシュナウザーの平均医療費

こちらは、最新版のアニコム家庭動物白書2020より引用しました。
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202012.pdf

ミニチュアシュナウザーさんの

1年間の平均医療費は

80,651円

です。


犬全体の平均が

70,683円なので

やや医療費がかかりやすい犬種であることがわかります。

年齢ごとで比較したグラフもお示ししますが、

やはり9才以降から医療費が増加していますね。

人も犬も年には勝てない。。。

ミニチュア・シュナウザーがなりやすい病気6選

それでは、

ミニチュア・シュナウザーさんを
飼う前に
飼っている人に

絶対に知っておいてほしい
なりやすい病気を

獣医師の知識と経験をもとに6つ解説していきます。


第1位 高脂血症(脂質代謝異常症)
第2位 膀胱結石
第3位 尿石症
第4位 糖尿病
第5位 皮下膿瘍
第6位 脂肪腫

です。

こちらもアニコム家庭動物白書2020より参考にしました。


以下の図は、他の犬種に比べて

ミニチュア・シュナウザーさんがなりやすいほど

緑色の棒グラフが右側に位置すると思って見ていただくと分かりやすいです。

アニコム家庭動物白書2020より

第6位 脂肪腫

脂肪腫という、
主に皮膚にできる良性の腫瘍です。


豆粒大の小さなものから、
野球のボールの大きさからソフトボール大になるまで巨大化することもあります。

よく聞かれるのですが、
太っていることや皮下脂肪とは関係はありません。

中高齢になると、体中のほぼどこにでもでき、
比較的やわらかく、ぷよっとした感触であることが多いです。

厳密には、動物病院での針生検(FNA)や手術による組織生検が
診断のためには必要です。

犬の皮膚には、悪性である「ガン」ができることもあり
安易な判断は危険なこともあります。

治療法は手術です。
この腫瘍自体が命を脅かすことはないのですが、
大きくなることで歩きにくくなったり、
日常生活に支障が出る場合には手術を相談します。

第5位 皮下膿瘍

皮膚の下にウミがたまる病気です。

犬同士のケンカ、、ミニチュアシュナウザーさんだと皮膚炎や

シュナウザー面疱といわれるような病気が隠れていることもあります。

また、後で解説する高脂血症(脂質代謝異常症)が

皮膚炎に関係しており、

特に中高齢で皮膚病になることが多くなってきた場合には

血液検査もして
コレステロールや中性脂肪、
念のため、甲状腺ホルモンも見ておくといいと思っています。

治療は抗菌薬ですが、
あまりに膿瘍が大きい場合にはメスで切開したり、
手術で除去するなんて言うこともあります。

怖いかもしれないですが
実は、中に腫瘍が潜んでいたなんていうこともあります。

第3位 糖尿病

犬も糖尿病になります。

ミニチュア・シュナウザーさんに多いのは

後述する高脂血症(脂質代謝異常症)により
コレステロールや中性脂肪が高いため
血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きにくいくいためでしょう。

一度なってしまうと、
犬の糖尿病は治ることはなく
キホン1日に2回の注射が
生涯必要になります。

治療法に関しては、
根治を目指す治療ではなく
付き合っていく治療となります。

適切な治療により、多くの子が
元気に今まで通りの生活を送ることができます。

第3位 尿石症、第2位 膀胱結石

本質的には同じ病気と考えられるため、まとめて説明しますね。


尿石症(尿路結石症)とは
かんたんに言うと、
オシッコの中や通り道に
に石や結晶ができてしまう病気のことで、
とくに膀胱に大きな石ができてしまった場合に膀胱結石といいます。

他にも、尿道結石、尿管結石、腎結石などできた場所で名前が変わります。

第2,3位だけあって、ミニチュアシュナウザーさんには非常に多いです。

この病気を疑う症状として

血尿
頻尿(オシッコの回数が多い)
尿の出が悪い
尿をする時に痛がる
オシッコが出なくなる(命に関わる緊急事態)

があります。

尿石が結石が、このようなオシッコのトラブルを引き起こしますが、
中には全く症状がなく、偶然レントゲンを撮って見つかったこともあります。

ちなみに、オシッコの出口が狭い男の子のほうが、
石が詰まりやすく
オシッコがが出なくなる尿道閉塞という緊急の病気になる事が多いです。

特に、オスのミニチュア・シュナウザーさんを飼われている方は
もしオシッコの症状があるならすぐに動物病院へお願いします。


治療法としては
飲水量を増やす、療法食、手術、
補助的にクスリやサプリを使うこともあります。

また、石の大きさや、できる石の種類で変わってきます。

膀胱結石に関していうと
まだ、大きな石になる前、
砂粒ぐらいの大きさや尿道から出るくらいであれば
すぐに手術することはなく
飲水量を増やしたり、食事の変更なので対応可能なことが多いです。

すでに膀胱に大きな石があった場合、
ストルバイトという、
とかすことができる石であれば
専用のちょっと高い処方食で治療が可能とされます

ただし、シュウ酸カルシウムというとけない結石の場合や
あまりに大きい石は手術で摘出したほうが早いと考えています。

また、レントゲンやエコー検査で石を発見できても
どんな種類の石かは実は最終的に摘出してその石を分析してみるまでわからないので、見つかった時点では溶かすことができるか明確にはお答えできないです。

最終的な、膀胱結石の治療法としては
膀胱切開という手術です。
その名の通り、膀胱を切って中の石を取り出す手術ですね。
通常は数日の入院が必要です。

手術費用に関して
平成27年の獣医師会の調査によると
中央値は36,898円となっていますが、
入院代、注射や点滴代などもふくめると10万近くになることが多いようです。

できれば早期発見や日頃から予防対策をして、手術をふせぎたいですね。

第1位 高脂血症(脂質代謝異常症)

かんたんに言うと、
コレステロールや中性脂肪が高くなりいろんな悪いことが起きる病気です。

実は、第5位の皮下膿瘍や第4位の糖尿病とも関係が深いと考えています。

人間だと、体型が関係あるようですが
ミニチュア・シュナウザーさんは、太っていなくてもなぜか
コレステロールや中性脂肪が高い子が多いです。

中高齢になって健康診断のために血液検査をすると、
個人的な経験では半数くらいのミニチュア・シュナウザーさんが異常が出ます。

ミニチュア・シュナウザーさんの宿命的な病気かもしれません。

この病気自体が命をおびやかすと言うよりは、

膵炎、糖尿病、肝臓病などの重篤な病気のリスクになると考えられています。

また、皮膚炎とも関係があり、
若いときは大丈夫だったのに、
中高齢になって皮膚炎になりやすくなった場合に、
この病気を考えておく必要があります。

次の段落から、
ココまでに説明した病気の早期発見法や予防法を
お伝えしていきますね。

ミニチュア・シュナウザーさんのなりやすい病気の早期発見法と予防法

第6位 脂肪腫

早期発見法

日頃のスキンシップに付きます👍

脂肪腫はカラダのどんな場所にも
できるので、色んな場所をなでたり、マッサージしたりできるように今からでも慣れておくといいです。

予防法

残念ながらないので、早期発見を心がけましょう。

第5位 皮下膿瘍

早期発見法

脂肪腫と同じで、皮膚にできるのでやはり
日頃のスキンシップが重要です。

ただ、この病気の場合には触ると痛がることが多いので
あまりさわらないように。

はれていることが多いのですが、
はれていなくても痛がった場合には
他の病気の可能性もあるので動物病院へ行きましょう。

予防法

先程申し上げたように、
高脂血症が皮膚炎や皮下膿瘍と関連していることもあるため、
血液検査はしておいたほうが良いでしょう。

1例ですが、そのような子を経験しています。

第4位 糖尿病