『動物病院への受診する前に何をすればいいの?』
『動物病院へ行く前に準備した方がいいものってあるの?』
初めて動物病院へ行く際や、予防で行ったことはあるけどいざ病気になった時にどうすればいいのか不安に思ったことはありませんか?
実は、この記事で紹介する内容を実践してもらうと、誰でも簡単に、動物病院へ行く前の必要な準備が出来るようになり、納得のいく診察を受けることができるようになります。
なぜなら、長年、獣医師として動物病院で勤務し、何千回も診察を行なって来て、この準備をしてもらえると良かったことをまとめたからです。
この記事では、来院前の準備に役立つ有益な情報を紹介しています。具体的には、来院前の準備の大切さ、病院の下調べの仕方、いつ受診するべきか、どれくらい時間や費用がかかるのか、持って行った方が良いものを紹介しています。
この記事を読み終えると、動物病院へ行く前の準備で今後悩むことは一切なくなり、適切に動物病院を利用できる賢い飼い主さんになることが出来ます。
※この記事を書こうと思ったのは、最近発売された、医師である山本健人さんの著書:医者が教える 正しい病院のかかり方(幻冬舎)を読み、動物病院版もあっていいのではないかと考えたからです。
目次
0.動物病院に行く前の準備
0-1:準備が治療の成功に関わる
動物病院を受診する前の準備は、病気がきちんと診断できるかや治療の成功に重要な役割を果たします。
なぜなら、動物は、どこが痛いか、いつから悪くなったのかなどの病気の診断や治療にとても重要な情報を話してくれないため、病状がよくわかる人が連れ添うことがとても大事です。
また、検査や治療を嫌がる子の場合には、安心できる人が一緒にいてもらうことで、ストレスなく処置を行えるからです。
その他にも、動物病院を受診する前に準備をしておくと、とても役立つ内容をまとめました。
0-2:かかりつけを作る重要性
かかりつけをまだ持ってない方は早く作りましょう。
なぜなら、かかりつけ病院があると、今までの予防歴、投薬歴や既往歴(どんな病気をしたかなどの過去のデータ)がカルテに記載されて保存されるので、そこからの情報で病気の診断に繋がるメリットがあるからです。
実際に、カルテを見ただけで、このお薬を飲んだ時に吐いてしまった、毎年同じ季節に皮膚が痒くなる、以前より体重が減っているので病気が疑われるなどの大切な情報が得られることが多いです。
もちろんそれ以外にも、信頼関係ができやすい、動物が慣れてくれるなどいろんなメリットもあります。
1.受診できるかどうか近くの動物病院を下調べをする
1-1:動物種
犬や猫であれば、大半の動物病院が受診可能です。
うさぎ、ハムスターなど診察しているところも多いですが、犬と猫のみの場合があるので事前にHPなどで確認しましょう。
そのほかの鳥類、特に爬虫類は診察できる病院はかなり限られるので下調べをしっかり行いましょう。
1-2:営業時間、祝日、臨時休診をチェック
受診したい動物病院が営業しているかどうかは行く前に毎回確認するのがベストです。
なぜなら、多くの動物病院が個人経営であるため、休診日が週に1〜2日となっているからです。
また、祝日は完全休診や午前中のみだったり、学会への出席のため臨時休診になることもあります。
1-3:動物病院が休みの場合には
オススメはそうなる前から、ほかに空いているかかりつけ以外にも病院を調べておくことです。
なぜなら、病気は僕達の都合に合わせてくれないため、休診日に病気になることは必ずと言っていいほどあるからです。
その時には、他の空いている病院を慌てて探すことになってしまいます。
1-4:夜間対応について
これについても、夜間に対応してくれる動物病院が近くにあるのか、無いとしたらどこまで行けば夜間対応の動物病院があるのかを調べておきましょう。
なぜなら、多くの動物病院が個人経営のため、個人の体力的な問題、スタッフの労働環境の問題などがあり夜間まで対応してくれる病院は多くありません。
人口の多い都会にお住まいなら、大きな動物病院が対応していたり、夜間専門の動物病院があります。しかし、人口が少ない地域では、夜間まで対応してくれる所は少ないため、夜間対応の病院が遠方になるためかかる時間や交通手段なども調べておきましょう。
もし、夜間も対応してくれる個人病院があったら頑張りすぎている先生なので、当たり前ですが本当に必要な時以外は夜間に受診しないようにしましょうね。
※夜間に受診する場合には時間外診察料が別途必要になります。3000円から5000円以上かかることもあります。もちろん、検査代や治療費とは別になるので、どうしても割高になることはご理解ください。
2.動物病院へいつ連れていけば良いか
結論としては、迷ったら早めに動物病院を受診すべきです。
なぜなら、動物は重症であっても見た目の様子に大きな変化がないこともあり、その判断は一般の飼い主さんに判断するのは無理に近いからです。
また、獣医師の目から見たら大きな異常が見つかったケースや簡単な検査で病気を疑うこともできるからです。
実際、昨日まで普通にご飯を食べていて元気に見える子に重病が見つかることはよくあります。
ただし、そういった飼い主さんがよくよく振り返ってみたら、そういえば、ご飯を食べるスピードが遅くなったな、いつもより散歩から早く帰りたくなったなと思い当たることもあります。
何事も早期発見、早期予防です。
3.連れていく人が重要
3-1:病気の診断を左右する
連れていく人がめちゃくちゃ重要です。
必ず、その子のプロフィール、既往歴(今までにどんな病気や手術をしたか、どんな薬を飲んでいるか)を正確に把握している人が付き添いましょう。
なぜなら、動物は、自分の病状を話してくれないので、病気の診断に重要な情報は連れてきた人に聞くしかないからです。
実際、問診で正確な情報が聞けると、それだけで診断ができることもあります。
また、正確な情報があれば、病気の重症度を見積もることができ軽症と判断できれば、無駄な検査をしないことにもつながり、検査費用やストレスの削減につながります。
実際、食欲が落ちているというケースで、全く食べないのか、7〜8割食べているのか、昨日から食べないのか1週間前から食べないのかで、提案する検査内容が大きく変わります。
※以前に経験したケースでは、避妊手術は実施済みだという子を、診察した結果、避妊手術をしておらず、緊急の病気である子宮蓄膿症が見つかったケースもありました。嫌な予感がしたので、調べたのですが、危うく見逃す所でした。
3-2:検査や処置の成功を左右する
連れてきてもらう人で、やるべき検査ができなかったり、やるべき治療ができないことがあります。
なぜなら、動物の場合、採血や注射などで暴れてしまうことがありますが、飼い主さんや安心できる人が側にいてもらうと落ち着くからです。
実際、飼い主さんが近くにいたり、頭を撫でてもらわないと採血や注射を暴れてしまうことはよくあります。
慣れない人が連れていくと、必要な検査や治療ができなくなることもあるので、必ず飼い主さんが付き添いましょう。
3-3:止むを得ず代理の人に頼む場合
どうしても付き添えない場合には、必ず電話連絡がつくようにしてください。
なぜなら、重症の場合や急変があった場合、緊急の手術が必要な場合に、検査や治療の方針に了解がすぐに得られないと治療が遅れてしまい、手遅れになるケースがあるからです。
特に手術などの命のリスクを伴うことを決定する権限は飼い主さんにしかできないので、連絡がつくということはとてもとても重要です。
実際に、その日に飼い主さんと連絡が取れなかったため、手術が遅れてリスクが高くなったケースを経験したことがあります。
また、代理の人が病状を説明しやすいようにメモを渡すようにすると良いです。なぜなら、正確な情報は病気の診断にとても重要だからです。
4.時間に余裕を持って受診する
4-1:病気の場合には目安は1時間
病気の場合には、待ち時間を除いて1時間は欲しい所です。
なぜなら、問診や身体検査で約10分かかり、最もよく行う血液検査などを行う場合、検査結果が出るまで30分くらいかかるからです。
さらに、治療として注射や点滴の時間、薬を処方する時間、お会計のための事務処理などの時間を総合すると、1時間は最低でも見ておいてほしいです。
もちろん、待ち時間は含めていないため、混んでいる人気の動物病院では待ち時間もプラスで考える必要があります。そのため、忙しい日に受診すると2時間以上かかることもあります。
最近では、予約診療制を導入する病院も増えており、待ち時間を短くしようと努力しています。
4-2:待ち時間を短くする方法
予約診療制を導入している動物病院で予約を取ることがベストです。
ただし、予約制じゃなく、来院の順番から診察する動物病院も多いです。
その場合に、空いている確率が高いのは、雨の日など天気が悪い日が狙い目です。
なぜなら、個人的な経験として、明らかに雨の日の方が患者さんが少ないからです。おそらく、雨でペットが濡れてしまったり、ただでさえ動物病院にペットを連れていくというのは一仕事なのに雨だとさらに大変だからでしょう。
実際、急を要しないワクチンなどの予防は天気が悪い日には少ないです。逆に、天気が悪い日が続いタあとの晴れた日は混み合うことが多い傾向にあります。
- 4,5月を避ける
動物病院にも繁忙期があり、4〜5月が最も忙しいです。
なぜなら、フィラリアの予防が始まる時期であり、またその時期に狂犬病の予防注射や混合ワクチン接種もその時期に打つことが多いため、大多数のワンちゃんが来院するためです。
4〜5月に来院する際には、待ち時間をいつもより多めに見積もっておいた方が良いでしょう。 - 休み明けの午前の診察や、次の日が休みの午後の診察は要注意
なぜなら、休み明けの診察の場合には、前日から病院が開くのを待って受診する患者さんは午前中に来ることが多いからです。
また、次の日が休診日だと、結構多いのが、明日が休みなので念のために受診しましたという飼い主さんです。
もし、急を要しないようなら、そこを外して来院すると待ち時間は少ないかもしれません。
4-3:終わり間際の駆け込み受診は出来るだけ控えて
これは、どうしても必要な時以外は避けて欲しいというお願いに近いです。
なぜなら、多くの病院が個人経営であり、スタッフ数にも余裕がないところも多く、過重労働につながりやすいからです。
実際、診察時間は19時までと記載していても重症の場合にはそこから検査、診断、治療をすると1時間以上かかることも多いです。
また、僕の経験的には、数日前から食欲がない、嘔吐などの症状があったのに、駆け込むように来院する方が非常に多いため、もう少し早く来院してくれたら と思ってしまうことが多いからです。
もちろん大前提として、夕方に帰宅したらぐったりしていたなどやむを得ない場合には、迷わず来てください。
5.費用はいくらかかるの?
これについては、以前の記事でも書きましたが、1万円を目安にしましょう。
平均の診療費用は、犬と猫では約1万円という調査結果があるからです。
もちろん、重症度や必要な検査や治療の種類、保険の有無によっては、大きく増減するので、心配な場合には診察時に獣医師に聞いても構いません。
より詳しくは、以下の記事をご覧ください。
https://jiyuujyuui.com/%e5%8b%95%e7%89%a9%e7%97%85%e9%99%a2%e3%81%ae%e6%96%99%e9%87%91%e8%a1%a8/
6.準備しておくべき持ち物
6-1:小型犬の場合
ケージまたはリード
怒りっぽい子はエリザベスカラーや口輪
怖がりな子であれば、クレートやケージがあると待っている間にストレスが少なく過ごすことができます。
どうしても、怒ってしまい攻撃的になるこの場合には、診察室に入る前で良いので口輪やエリザベスカラーをしていただくと診察中に非常に助かります
6-2:中•大型犬の場合
外れない首輪と丈夫なリード
怒りっぽい子はエリザベスカラーや口輪
何と言っても、外れない首輪と丈夫なリードをお願いします!!
中型犬以上になると力もかなり強くなってくるため、嫌がる際に首輪やリードが外れたりすると、検査や治療ができないことがあります。
また、車から病院に移動する際に、暴れた時に首輪が抜けてしまって、逃げてしまった犬を目撃したことがあります。中型犬以上のサイズの犬は特に注意してください。
また、攻撃的な性格の子の場合には、診察に難儀することも多いです。
診察前に、エリザベスカラーや口輪をつけていただくと、診察できることが増え、結果的にその子のメリットになるので、怒りっぽい子には対策をしていただくと診察がしやすいです。
6-3:猫の場合
必ずケージやキャリーバッグ
怒りっぽい子はさらに洗濯ネットの中に入れる
必ずケージに入れて来院してください。
抱っこで来院する方も稀にいますが、その場合には次回から必ずケージに入れるように指導します。
なぜなら、猫の方が怖がりの子が多く、抱っこから急に逃げ出してしまうことが多いからです。
最悪のケースとして、運動能力が高いので捕まらなかったり、高いところに登ってしまったり、病院の外に脱走してしまうこともあります。
猫の場合にも、攻撃的な子はいます。
その場合には、市販の洗濯ネットに入れて来ていただけると助かります。
なぜなら、多少暴れても洗濯ネットの中から逃げ出すことができないため、タオルなどでくるんで注射や点滴などができるからです。
また、ものに包まれる感触があると猫は落ち着く傾向にあるからです。場合によって、洗濯ネットから足だけ出して採血をするなんてこともできたりします。
まとめ
- 動物病院へ行く前の準備は治療の成功に関わる、かかりつけ病院を必ず作ろう!
- 動物病院へ連れて行くタイミングは迷った時、少しの変化でも早めに相談しよう!
- 連れ添いの人はとても重要、必ず病状が良くわかる人や動物が慣れている人と一緒に行こう!
代理の人に連れて行ってもらう場合には、病状のメモを渡し、電話がつながるようにしよう! - 病気の場合には、待ち時間を除き1時間は最低でもみておこう!
- 費用は、1万円を目安にしよう!
- 動物にあった適切な準備をしよう、特に猫はケージは必須!
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