獣医が、動物愛護施設でボランティアしてきた話

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獣医師のゆうです。

先日、機会を頂いたのでとある動物愛護施設にボランティアでお手伝いや診察に行ってきました。

愛護施設に実際に行くのは初めてだったので、そこで実際に見てきたことを自分なりにまとめてみたいと思います。

①飼育環境について
②動物たちについて
③設備について
④職員さんについて
⑤根本的な解決法について

飼育環境について

正直驚きました。


数十頭の子たちが、所せましとリードに繋がれて飼育されていて

施設内に入った瞬間に一斉に吠えだす。。。


最初、その場の異様な雰囲気に

ただただ圧倒されていました。


気を取り直して、

施設内をぐるっと見回わしてみると

ケージやサークル内に成犬は1匹ずつ。

広めのドッグランのようなところには数匹が一緒に。

子犬は、小さめのケージの中で1〜2匹でいました。


施設についたときには、

朝の掃除が始まる前だったということもあるのでしょうが

生き物なので出るものがありますから、

それ相応にその光景やニオイが気になりました。


もちろん、ショックでしたが

限られた人数でこまめな世話をするというのは

職業柄、難しいとわかっていますので

批判ではありません。


むしろ、この数の動物をよくお世話できているという感心のほうが大きいくらいです。


僕の働く動物病院では

入院が5頭もいれば朝の掃除やお世話が

かなり大変だというレベルです。


数人でやっても20〜30分かかるかもしれません。

その何倍ものお世話を、施設職員さん数人で、しかも365日毎日となると。。。


書いていて、更にその大変さを実感してきました。


もちろん、言うだけではなくて

僕も掃除のお手伝いを頑張ってきました!


学生の時以来の、つなぎ&長靴で一生懸命やったら少し腰にきました😁。


ちなみに高圧洗浄機って便利ですね。




動物たちについて

子犬も、成犬も、老犬もいました。


子犬たちは、

みんなフレンドリーで、クンクン鳴いていてそりゃあ可愛かったです。

ただ、中には体調が悪い子もいたので

診察をしたのですが

すでに厳しい状態だったので、動物病院の受診を勧めました。


獣医も動物病院を離れると、

できないことが多いことに気付かされました。


多くの子犬は、

もらい手が見つかることが多いとお聞きしましたので

今頃は新しい飼い主さんのもとに行っている子も多いかもしれません。


成犬や老犬は、もらい手が見つかりにくいとのことでした。


すべての子に近づいてみたのですが、

警戒して、怖がる、吠える子が多かったのですが

フレンドリーな子、お中を見せてくれる子、なでてほしい子

もいて、人と一緒に生活できればもっとしあわせになれるんだろうなと

ちょっと悔しかったです。


自分が1匹でも引き取れればとも考えました。


もし新しく犬や猫を、迎え入れることを考えている方は

是非、保護犬、保護猫たちも選択肢に入れてあげて下さい。


成犬、成猫よりも子犬、子猫のほうが人気があると思いますが、

性格がわかっているということが最強のメリットだと思います。


犬の性格は子犬のときには読めないことが多く、

成犬になった時にこんなはずじゃという方も少なくないです。

もちろん、しつけや飼い方の問題もあるのですが、

動物を飼う初心者にこそオススメしたいです。


獣医という仕事をしていると動物の性格で、

飼い主さんの満足度や、

治療をしてあげたくても思うようにできないというフラストレーションが

左右されることが多いように感じています。

設備について

老朽化が目立ちました。


おそらく木造の施設で、暖かい日だったのにも関わらず

その中はすきま風がふくのか、なぜか肌寒かったです。


動物たちのケージやサークルも、

サビが目立ち、ドアの開閉がしづらかったり

数年前、10年以上前から使われているようにも思いました。


最新の施設になったから、

動物が幸せになるかと言ったらそんなことはないのですが、

日々働く職員さんの業務効率や作業環境を考えると

もっと改善できる点がいっぱいあるなあと思いました。

職員さんについて

疲れが見えました。

元気いっぱいでハツラツと働いているというようには見えなかったです。


もちろん、

動物が好きで働いているという雰囲気は伝わってきて

声をかけながらお世話をしたり、

当たり前かもしれませんが

何十頭もいる子達の名前をしっかり覚えていたり、

そうじゃないとできない仕事だろうと思いました。


僕も動物が好きで獣医という仕事をしているのですが、

好きだけでは続けられないこともあります。


獣医も、

生き物に関わることなので365日の対応が求められたり

経済的な面(勤務獣医師は給料はそこまで)

など、特に家族ができたり、体調を崩して一線を退く人を何人も知っています。


さすがに踏み込んだ内容だったので

職員さんに直接質問しなかったのですが

同様の問題点がありそうに思いました。

根本的な解決法を考えてみた

ココで終わったら単なる感想文になってしまうので

改善点、解決方法を考えてみました。


打ち手としては3パターンありますよね。


①受け入れる動物を制限する

新しく次から次へ、

善意からでしょうが保護施設に受け入れるため、

キャパオーバーになって

どんどん現場がしんどくなっていくと思います。


なので、救える動物が一時的に少なくなってしまうかもしれませんが

やむなくこれ以上は受け入れないという限界を設定すべきだと思います。


もうそうされているのかもしれませんが、

僕の見た限りではもう限界を超えていそうでした。

保護施設がパンクしてしまって、職員さんがやめてしまい

保護活動が途中でやめになってしまうほうが、

最終的に救える動物の数は少なくなっていまうのではないでしょうか。


②職員の増員、設備をグレードアップ

現状の処理能力を上げるプランですね。

給料を上げて、

職員さんにもっと来てもらう

職員さん数を増やす

そうすれば単純に労働力が増えるので改善に繋がりそうですね。

設備をより良くして、

掃除などのお世話を効率的にすることも

職員さん1人あたりが単位時間あたりにできることが増えますね。

問題点として

お金が必要なので、新たな問題についてまた解決法を考えなければいけません。

長くなるので、今日はココまでにします。

③もらい手を増やす
入る数より、どんどん出ていく数を増やせば、

保護施設内に、いる動物数を減らすことができます。

そうすると、少ない職員さんでも一定のクオリティのお世話ができそうですね。

そのためには、

なるべく多くの方に保護犬、保護猫のことをしってもらう必要があります。

最近だとSNSがこの役割を果たしており

数年前よりももらい手が見つかりやすくなっていると思います。

また、微力ながら僕も、このようなブログやYouTubeなどでも発信させていただいています。


けれど、最終目標はやはり

「そもそも保護しなければいけない動物をなくす」

だと思います。

保護犬の保護される理由は、

一般の飼い主さんに多いのが

問題行動、思っていたのと違う、費用、離婚や引っ越し、死亡

と言われています。


また、

一部の心無いブリーダーや繁殖業者による無計画な繁殖や多頭飼育崩壊

に伴うものもあります。



保護猫の場合は、外猫の保護、迷子などが多いようです。


保護犬については、根本的に共通しているのは、

犬を飼うにあたってよく考えずに

簡単に購入できることが

大きな要因だと思います。


犬を飼う前によく考えましょうと言われますが、

そんなふうに啓発するだけで衝動的に購入する人が聞いてくれるかと言うと。。。

なので、そのようにすぐに買えないようにするシステム作りが必要です。


多くの方がもう行動を起こし始めていて、

ペットショップでの生体販売をなくそうとされています。


猫についても、言わずもがな

地域猫活動に取り組まれている方も多いですよね。

そのおかげもあって、殺処分の数も年々減っています。


もし、あなたにもできることがあれば

寄付でも、ボランティアでも、

SNSに応援コメントするだけでも

頑張っている方々の力になると思いますので

ぜひよろしくお願いします❗❗

まとめ

飼育環境は決して理想的とは言えないが、

人と一緒に生活することに適した性格の子も多いので、

性格の読めない子犬、子猫を買うより、

性格がわかりやすい保護犬、保護猫を迎え入れるほうが

より満足度の高い動物との生活をおくりやすいと思った。


最新ではない設備、十分でない職員の数で

保護施設がいつ限界を迎えてもおかしくない。


持続的な保護活動をするためには、

現実を見て、受け入れ数を制限したり

設備の拡充、職員の増員

もらい手を増やす活動

が重要と考える。


ただ、もっと重要なのは

そもそも保護が必要な動物の絶対数を少なくすることなので、

動物を購入する窓口に対する対策や

地域猫の活動

そもそも動物を生み出す業者への規制であろう。


ここまで読んでくださった方は、真剣に問題を考えてくださる方だと思うので

あなたにもできることがあるので、

少しだけでも力を貸してくださるとありがたいです。